高天原へ 8月11日(水)

5時に朝食。快晴。寒い。朝日が黒部五郎の頂きを照らし始める。実に寒い。自炊の人は、薄いダウンを着てる。準備いいなぁと感心する。木道には、霜が。今は、真夏だよ。いくら放射冷却だといっても冷え過ぎでは。そんなこんなで、また出発は最後。既に、小屋の兄ちゃんは、側の丘まで行って来たみたい。「木道がキラキラ光って綺麗だ!」
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朝日に照らされた
黒部五郎岳 |
誰も居ない
カマボコ屋根の部屋 |
さぁ、出発 |
さぁ我々も出発。初めての雲の平山荘雨具無し出発です。
今日の目的地は、高天原山荘。時間に余裕が在るので、テント場方向に見える、黄色い花の群落がある丘まで行く事に。黄色い花群落に向け、登る我々に向かって巨大リュックを背負ったMが下ってきた。もう少し早く下って来れば、ケーキセット食べられたのに!「スイス庭園は、雷岩から直ぐだから、行った方がいい」とアドバイスをしてくれて、「じゃ、高天原で!」と言ってすれ違う。最初の目的地、黄色い花群落は、近づくと新しい花!なんかじゃ無く、色付いたコバイケイソウの葉っぱと判明。だまされた!未だ時間に余裕があるので、Mに薦められたスイス庭園へ。そこは、雷岩から直ぐ目と鼻の先。雷岩から見えるじゃないか。何度か雷岩の横を通り、テント場の水場へ行ったが、いつも雨で見通しが効かなかった。そこは、雷岩から5分とかからない。これまで、ここを通過する時は、水場を求めてガスの中をテント場へ下るのが常であった。雷岩から、直ぐのスイス庭園からは、水晶岳が全部見える。岩苔小谷が見下ろせる。手前には、水晶池もはっきりと見る。さらに、遥かかなたに、今日の目的地、高天原が見える。嬉しい、しかし、あそこまで歩くのかと思うと一寸気が重くなる。でも、ここを薦めてくれたMに感謝。感謝。雷岩まで戻りベンチで一休み。今年は、木道整備の工事を行っていて作業者がベンチに集結、雑談をしていた。我々も、ここで一休み。
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俯瞰 岩苔小谷
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水晶池
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雲ノ平山荘下の高天原への分岐に達した時、ケーキセット&Mの事が気になったが、昨年通過した時刻を過ぎていたので小屋には寄らず登り始める。15分で1台番目のピーク。先客2名が岩に座っている。お互い「よく晴れてるねぇ。」と言葉をかわす。確かに、天頂から稜線まで、雲一つ無い。大きい薬師岳、立山、水晶、祖父、三俣、五郎、北の俣、太郎、みえる筈の物、ぜぇ〜んぶ見えちゃってます。高天原方向から息を切らせて単独行き男性がハイマツのトンネル道を抜けてご到着。やはり、どちらともなく「よく晴れてるねぇ。」と言葉をかわす。お互い薬師をバックに記念写真を撮りあって、我々は出発。ガス(霧)が無い、今年は進む方向が明確だ。そのハイマツトンネルを行けば良いのだ。去年は、ガス(霧)で進む方向を見つけ出すのに苦労したのダ。ここからは、危険な事は無いが、ハイマツの中を結構な角度の急下降。雨の去年を思い出す。そんな事を思いながら下っていると、直ぐに底に到達する。大きい岩のゴロゴロ谷、谷底から上流方向に目をやれば、北ノ俣の稜線が眺めら、近くの岩と遠くの稜線、それぞれ違った色と構図がおもしろい。
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1番目ピークから薬師岳
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谷底
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追越す、身軽な兄ちゃん
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そして、谷底からは、当然登りです。程よい傾斜と距離でロボット雨量計に到達。登る途中に、身軽な兄ちゃん二人に抜かれた。余り歩いていないが、二人とも腹へった状態。アンテナ右側の雨量計前のコンクリート部に座って、水晶岳を眺めながら、菓子を食う。雨降りの去年と違って、眺めは良い。しかし、足元にみずみずしさがない。いよいよ詩の原。やはり、ここでもチングルマは咲いていない。いつの間にか、大岩降りとなる。濡れていないので下り易い。自分では、軽快に足を進めているつもりだったが、いつしか、後ろからのプレッシャーを感じはじめた。こんな所では、早い者には道を空け譲るのが我々のポリシー。そこで、勇気を出して踏み跡の岩から外れた岩に乗り移り、振り返ると、そこにはMがいた。少し言葉を交わし、それまでの順番で歩き始めるが、直ぐにMは必死に降る我々の横を、ストストと追い抜き下って行った。速い!実に早い!我々が、大岩下り終えて、まだ、傾斜地を歩いているのに、この先の平坦部を過ぎ樹林帯へ消えて行った。あんまり急いで、転ぶなよ、M!。我々は、ナナカマドに囲まれた平坦部で一休み。出発して間もなく、ハイマツの間にある岩に座りこんでいる兄チャン二人を発見。向こうから声をかけてきた、「すいませんが、紙あったら下さい。」「???、どうしたの。メモ用紙?」「腹、痛くて」「!!!」。相棒が、これで良かったらとウエストポーチに入れて在ったポケットティッシュを渡す。一応、水に溶け無いティッシュはマズイと思い、「リュックに、ロール紙も在るから出そうか?」と言ったが、「これで十分です。」と言われてしまったので、その場を立ち去る事に。彼ら登山道整備(木道敷設)の資材運搬ヘリコプター待ちだそうで、来年はこの辺も一変しているのだろうなぁ。雨が降るとぬかるむ道が、整備されるのは有り難い、しかし、木道は何か淋しい感じだ!もっと危ない場所を整備してもらいたいもんだ。やっと、我々も樹林帯へ。
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抜き去って行ったM
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詩ノ原から
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詩ノ原から その2
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日陰になり、恐怖梯子の前で休みたい気持ちは、二人とも同じだった。倒木を見つけ直ぐに腰掛け一休み。相棒に聞く「さっきのティッシュ、新品?」「違う。2枚は入っていた筈」2枚で足りたのかなぁ?俺の相棒は、以外と見知らぬ人に冷たい!のです。倒木に腰掛けながらチョコレートする。立ち上がると、いよいよ始めの丸太の梯子下り。(始めの丸太梯子は、樹林帯に入って直ぐです)やはり雨降りの去年と違い、気分的に楽。梯子を降り始める前に、後ろ向きになる要領が判ると、どおって事ないです。しかし、ステッブの広さには難渋。最後のステップは、基本の三点支持では無理、ぶる下がってやっと下のステップに足が届くのです。ひとまず無事、二人は着地成功。安心なんかしてられないのです。着地点から進む方向を見ると、すぐ次の梯子が控えているのです。この梯子も丸太仕立て、かつ途中で横にズレた状態の二個連続梯子。相棒と二人して、降りる相手に、「右!」やら「違う!もっと右。リュック引っ掛かる!」の大声で指示。無事二人が着地して、始めて気づく。梯子の上で、ご夫婦がお待ちであった。大声をあげていた自分達を見られたかと思うと、恥ずかしくなり思わず「鈍くてすみません。もう大丈夫です。どうぞ、降りて来て下さい。」先ず旦那が、スイスイスゥ〜イと完了、引き続いて奥さんも直ぐに着地完了。あっという間に降りて来る二人を呆然と眺めている僕達に「お先に!」っと一言。ご夫婦は、休まずそのまま先に行ってしまった。
あとは、高天原峠までのダラダラ下り。峠の道標で昼ご飯。
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始めの梯子(上から)
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始めの梯子(下から)
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2番目の梯子(上から)
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2番目の梯子(下から)
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3番目の梯子(上から)
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3番目の梯子(下から)
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追加おかずに食べた缶詰の缶を石で叩き潰して、ゴミ袋に入れ出発。その間に、大東新道から男性が到達。「お先に!」に対し、無言。いやぁ〜な感じ!まぁいっか、♪イロンな人がいる〜ぅ♪ダ。高天原までは、溶岩台地の淵を横切るように(トラバースって云うのか?)降りているって感じ。去年は、「台地の上で降っている雨が流れ下り、右手の斜面全体から水が流れ落ちていた。「水は、沢を下れ!道を横切るナ。」だった。晴れている今年は、そんな事も無く無事、小川に到達。でも、峠からは長く感じた。平坦になって単独男性に、追い付かれた。道を譲ったが「疲れているから、いいよ!」といわれ、川まで三人で歩く。川に着くと、彼は川の水に顔を浸そうと、一人でスタスタと道を外れ河原へ。河原の石にけっつまずきながら、転がる様にして水辺へ。相当まいっていたようです。転ぶな!おやじ!見ていてヒヤヒヤだ。僕らの前で転ばないでね。お助けする体力残ってないですから。
大岩を中継ぎにした丸太橋(五十嵐さんは、13日から改修予定と言っていました)を渡り、乾燥が始まった湿原の中をしばらく行く。明日は通らないと思うと、やたらシャッターを切る二人であった。転びかけていたおやじは、未だ来なかった。今度は、平板の橋。岩苔乗越への分岐と小川に出た。今度は、平板の橋。もう、高天原山荘は近い筈。少し進むと、人の話声がする。小屋が見えた!とうちゃくぅー!。Mが小屋のテラスを降りて出迎えてくれた。感激!さっさと温泉に行っていると思っていた。人見知りする相棒も再会を喜んでいる様だ。Mと一緒に温泉に行く事にし、山小屋のチェックイン。今日も、一人一枚の布団「♪しあわせーぇ。なぁーむ。♪」と言いたい。さて、我々が荷物を二階に上げ降りてくると、Mは、ビールを買っていた。(アルコールは飲みません!って言っていたのに?)うちらは十六茶ペットボトル2本。で温泉に向け出発!以外と近く感じた。
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平板の橋 |
乾燥の始まった湿原 |
岩苔乗越からの小川と道標 |
川原にビールを浸けるMを真似て、ペットボトル1本を浸け、龍晶池に向け再出発。ドロドロ道の去年と違って、カサカサではないが、歩きやすい。到着。Mは「こんなにあったけ?」と言うが、我々は、やはり去年よりも近く感じた。龍晶池への入口。去年は、単なる看板と思い込み、そのまま踏み跡を直進。今年は、Mがいて、「右!ここで間違えるかねぇ〜?」といわれてしまった。確かに良く見ると右方向を示す格好になっている。池へは、ここで右折するんですね。右折して数十歩で、大きな池が現れた。その存在を知り30有余年、余りの奥地で訪れる事を諦めていた龍晶池が、今、自分の前に存在している事実。感無量。入口で立ち止まり眺める僕を置いて、Mと相棒はさっさと周回道を奥へと進んでいった。気付くと二人は、対岸。慌てて歩き出す。対岸からは、逆光で水草が水面で輝き眩しいく光って美しい。しかし、入口の丘からの水晶岳と龍晶池が一緒に眺められる所が最高!
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龍晶池 1
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龍晶池 2
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風呂までの戻り道も、以外と近く感じた。風呂には先客がいた、でも無事三人とも浸かれた。今年の湯は熱い、とMは言うが余り感じない。しかし、期待してきた、黄色い硫黄が体に付着してこない。残念。Mは言う「熱いからだ!」。水温が高いから硫黄が溶け込んでいる?もっともだ。最近、草津、白骨、乗鞍高原では付着しなくなった硫黄が、去年に続いて体験できる事を期待していたので、残念。山奥の露天風呂での見知らぬ者同士の話題は、温泉沢をつめること。意外ときつい様である。Mと相棒&誰かは、熱くなった体を冷やす為に、大胆にもタオル一枚で川原に下りて水浴びをしている。僕には、出来ません。だって、疲れているんです。はだしで、川原まで歩く自信ないです。ここは、基本的に混浴。女性専用囲み有り風呂もあるが、川原は男女共用。まぁっ良いか。警察も居ないから、猥褻物陳列罪の現行犯逮捕は無いだろうと、安心して、湯船の脇で三人を見物。戻ってくる時、転ぶなよ!怪我すんなよ。暫くして、汗っかきな自分は、あんまし浸かっていると、上がってから汗が止まらないので、あがる事に。相棒も付き合って、入浴タイム終了。
Mを残して、僕らだけ先に風呂から出て川原で、のんびり十六茶を。頭が洗いたくなった。すると、ある事に気づく。屈まずに、(腹出ているので、屈むのが苦手)汗まみれの頭を洗う方法だ。チョット大きいな石を水が流れ落ちる所で、頭だけ突き出せば、屈まず水を頭部に水を当てる事が出る!!即実施。実っつに気持ちいい。相棒も、即実施。その時、脇に大きな蝶が居るに気付く、しかし逃げない。Mは、まだ湯舟。自炊かぁ?夕飯の時間に間に合わせる為、歩くのが遅いから、お先にっと言って小屋に向かう。小屋までの上りは、やはり、湯上がりの体には暑かった。4時半過ぎに小屋に着き、寝床を作ったり荷物整理をして小屋の階段を降りてゆく。ちょうど5時からの食事が始まるところだった。行列に並ぶ。気付くとMも後ろに並んでいた。食堂は広くなく、入口で名前を言って、係が人数別に席を指定。後ろのMと同じテーブルを要求したが聞き入れられず。我々は、入口近く、Mは、かなり食堂の奥の位置へ。チョット残念。今年の味噌汁かわった味でした。何なんだろう?テーブルの皆が不思議に思う味。強いて言えば、ポタージュスープin味噌って感じ。豆腐が旨い。食べるスピードが相棒より断トツに早い僕は、ちゃんとお代わりして完食。
先に席を立ち外で一服。続いMも出て来て一服。たしか、相棒も一服しないが出て来たと思う。寝る前のひとっ風呂、出かける人もいてMが迷っていたような記憶。さっきのアルコールが効き始めたのか、記憶が不確か。床に就き、隣のおやじから「私達、あした早立ちなので、3時半ぐらいから、がさつきますけれど、宜しく。」と言われ、どちらまでと聞くと「皆さんが、お風呂で話されていた"温泉沢"をつめて奥黒部ヒュッテまで」とか。ヒュッテからダムまでも、あきる程なが〜いそうです。尾根と谷の繰り返しを丹念に、黒部湖の湖面に沿ってダムまで、呆れる程歩くそうです。あとは、耳栓して寝ちゃい朝まで記憶無いです。
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"コロナ観測所"では、ありません 雨量自動観測所
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黒部五郎岳と山荘
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