雲ノ平へ 8月10日(火)

 夜の大部屋は、暗くて入口近くは奥からの人に踏みつけられる危険あり。奥に入ると、出入りに気を使い、他人を踏みつけたり窓が無いと暑苦しく寝苦しい。でも、今回は、夜中に起きる事無く、4時少し前にトイレに行った相棒に踏みつけられて、起床。
 5時の朝食は、例年だと早い者順で4時頃から行列なんですが、昨日、5時と宣告されていたので安心。 (すいているんです、全員が一度に食堂に入れるんです)外は、真っ暗。 そして、霧。でも、朝食を弁当にしてもらった人達がヘッドランプつけて次々と出発。 それを眺めながら、いっぷく、そして、更に一服。朝食の時までに、布団を片付け、ゆっくりと荷造り。朝食後、部屋に戻ると、もう殆ど人がいない!。
出発済み。外は、晴れているんです。晴れると、皆さん出発が早い早い!

4:30の小屋全景 朝食後に戻った、大部屋 5:40の小屋前広場
 6:30のラジオ体操参加したかったが、早めの6:10に出発。
日の出前はガスが立ち込めていたが、殆ど快晴。気分爽快!薬師沢小屋目指して歩き出す。 小屋の裏、去年工事していた公衆トイレの先で、太郎衛山への道を右に分かち、左に一旦下る。 小さな沢<小屋の水源>を渡り、一度登ると木道が引かれた草原が広がる。左に振り返ると、太郎平小屋が見え、ラジオ体操の声が聞こえる。 気分は最高!でも、参加できなく残念。この草原が終わると木道も終わり、後は、急下降。 しかし、木道の末端付近で、景色を眺めながらの相棒は木道を踏み外し、すっ転んだ。彼は、よく転ぶののです。起き上がって、「大丈夫!」の声に、僕は安心しきって、急下降する道を下った。約1時間で薬師沢の第一渡渉点。昨年からベンチがあるが、川原で休む事に。ここで、相棒のズボンの右ひざ辺りに血痕が!さっき、「大丈夫!」と言っていたすっ転びで怪我をした様だ。擦り傷以上の怪我。本人は大丈夫と言うが、傷口が黄ばみ始めている。僕のリュックの天には、薬満載なんです。傷口に雑菌が入り込まない様、消毒薬をたっぷり染み込ませたティッシュで何度もゴシゴシ擦り、消毒ガーゼを充てがいテープで止めた。誰も居ない谷底で、ゴシゴシ擦られる相棒は、ギャギャー痛がった。転んで直ぐなら、ゴシゴシしないで済んだのに!なぜ、直ぐ言わない!だって、あそこだったら、帰ると言い出すから、我慢した。実は相棒、出発前日の会社帰りに同僚と飲んで、電車に乗ろうとしてホームと車両の間に落ち、その時の痣もあったんです。話は、それますが、一緒に電車に乗り、振り向くと後ろに居たはずの相棒が居なくなるのって、本当にドキっとしますよ。かわりに、自分の足元に、人が居るんです。依然、経験したんです。本人、平気な顔してホームと電車の間から這い上がって来るのですが、心臓に良くないです。そんな訳で、30分の大休止。
太郎衛山と薬師沢の分岐 小屋ではラジオ体操? 第一渡渉点にかかる橋

 第二渡渉点は、そこから8分後に通過。第二渡渉点から直ぐに(今回は6分後)に大岩の為すれちがい困難な登りが少々。ここで、二人組みとすれ違う。上で待ってくれていたのだが、あまり待たせては申し訳ないと思い、急いで登る。とたんに息が切れた。でも、この登りが過ぎると、第三渡渉点までは、左下に薬師沢を眺めながらの道で、最高に気分の良い地帯。今回は、休まなかったが、ベンチ有。このベンチで、一日中休んでいたい程、薬師岳や、対岸の林が美しい。約25分後に第三渡渉点(左俣)通過。今回は、その先にあるベンチで20分の休憩。眺めは、今回通過してしまったベンチの方がGood。その後、45分間樹林帯の中を歩き、カベッケが原へ到着。ここでいつもの弁当タイム。いつもなら、通過者や一緒に休む人が居るのだが、やはり、今年はだれぇ〜も居ない。1人前2個のおにぎりを一つずつ食べて、出発。(休憩23分) 
第二渡渉点にかかる橋 眺めの良いベンチ 第三渡渉点にかかる橋
年を重ねて
通り易くなった所
道をふさぐ倒木
<大分、朽ちてきた>
だれぇ〜も居ない、
カベッケが原

出発して、直ぐに(約10分後)、薬師沢小屋に到着。何時もと同じように、リュックにも入っている白桃缶詰を小屋で買い、食べた。冷えていて美味い。今年は、爪楊枝でなく箸をくれた。感激! 去年までは、「箸ないです。爪楊枝あげます。」と云われていたからだ。周りにどのような人達が居たか覚えていないのですが、とにかく美味しいモモ缶でした。 昨夜、太郎平小屋の五十嵐さんに「今年は、大東新道は水に浸からず行けるよ」と云われていたのですが、確かに薬師沢と合流しても黒部川の水量は少なく、直接、高天原へ行けそう。でも、川原の岩歩きが不得手なので、やっぱし雲ノ平へ急登する事に。薬師沢小屋で休む人も少ない。昨夜の雲ノ平山荘の混み具合を聞くと、猛烈な混み具合だったとか。 そこは、混むと、本当に1人の幅が狭いのです。 その雲ノ平山荘に向け出発!今年の吊橋渡りは、僕が先。 いつも、相棒が先に渡り、対岸の大岩の上から怖がりながら渡る姿を写真に撮られてしまうのですが、今年は、逆だ!。僕が、吊橋を渡る相棒を撮るのだ。
美味しいモモ缶、冷却所
薬師沢小屋
恐怖の吊橋 薬師沢と本流の合流点
急登り始まって直ぐの
なが〜いハシゴ
何処までも続く
巨大漬物石with苔の登り
急登の途中、
倒木がベンチ代わり

そして、急登り3時間の苦しみ。この登りは、樹林帯の中を、《よっくもまぁ》、作ったのか?見つけ出したのか?と思いながら続く巨大漬物石with苔の登りなのです。今回は、単独行女性とペースが同じ。お互い言葉少なく抜きつ抜かれつ状態。行く手が明るく、樹林が切れ空が見え隠れする場所になって立ち休み。そこは、木道末端から100m下(標高)の所で、立ち休みしている我々を、抜き去りました。抜き去る彼女「あと、どのくらい続くんですかねぇ。」と質問。こんな時、標高がわかる腕時計が在ると超便利です。彼女も外国製のを(黄色で目立ってた)腕にしていたので「いま2300だから、あと100で木道だよ。」と教えてあげた。ついでに、「木道みえても、休まず先に少し進むと広場があるから、休むなら広場まで我慢」。彼女曰く、「雷が来る前に、着きたいので、お先に」。全く同感。我々もその広場に無事到着。彼女は先を急いだのか、いない。誰〜もいない広場。初めて周囲の山が眺められる所なんです。いつも、登り始める谷底では、晴れていても到着すると360度パノラマ上映は終了し、銀幕在るのみ。今年も、樹林帯から垣間見た太郎平小屋付近には、雲が出初めていて、雷を気にしながら登り終わった広場なのです。

まだまだ、続く
巨大漬物石登り
やっと、到着。広場です。 ガスり始めた稜線
疲れ果ててます。汗だく
多少、凹んだかぁ?腹。
絶対に膨らんだ菓子袋 ガスが!急がねば。

 ここでは、到着時に、どの様な天候であっても、我々二人にとっては、登り終え、安堵し、それが達成感、そして満足感に変わってゆくのを実感する場所なのです。昨年も一昨年もここでの天気は、常に濃霧状態。しっ、しかし、しかしです。今年は、なっ!なぁ〜んと、360度パノラマ上映中です。(ちょっと霞んでるけど)360度パノラマ上映と言っても、終演間際か?稜線は恥ずかしがっているのか?、流れる雲で見え隠れ。雲が太陽を覆い隠すと、寒い。寒くても感激です。見える景色を二人して片っ端から撮っちゃいました。そして、誰もいない広場で、体が冷えないうちに、お握り2個たべて、早々に出発。ここから、約1時間で雲の平山荘に着く筈。
途中、アラスカ庭園の先で黒部川の川原<大東新道>が眺められる場所を一昨年に発見。昨年は、気づかず通過したが、今年はその場所で一休み。(奥日本庭園とアラスカ庭園の間)。ほぼ真下に見える川原を流れる水は、依然見た時より明らかに少なかった。誰か歩いていないか目を凝らすが、確認できず残念。
川原 川原

雲の平山荘までは、平らな様で平でない。意外と上り下りがある木道。途中、いつもはチングルマの白い花が沢山咲いているのだが、今年は、ぜぇ〜んぶ種。雲ノ平山荘に近づくと、発電機と人の声が頭上から聞こえる。雲ノ平山荘は、昨日は、超満員だったそうだが、今日は?不安を懐きながらのチェックイン。明日の宿泊地を高天原と記載。脅威。この時間で二階は、ガラガラ。最終的に布団1枚に1人。カマボコ屋根の2階には20人前後でおしまい。寝場所を確保して、一休みしていると、外に出ていた相棒が戻ってきて、「たぶんMさんいるよ。」慌てて外に出ると、驚き!会社のMが!去年、高天原で会った会社のMが居る。お互い、会社では見せない表情をしていた筈。「やまって、良いですねぇ」。そこに居る人、みぃ〜んな仲間。嬉しくて、ケーキセットおごりたい。でも、Mはタイミング悪い奴。食堂は、喫茶は終わり夕食の準備中。寒い中、しばし歓談して、Mはテント場へ。我々は、食事。氷結<缶チュウハイ>を飲んだ為か、眠い。寝床で、横に成りながら隣の人が話し掛けて来るが、いつの間にか眠っていた。
ワリモ岳が見える 雲ノ平の木道 間もなく、山荘到着
その夜の2階 雲ノ平山荘の食券 夕暮れ山荘の外
 朝の太郎平から黒部五郎岳
右の木道で相棒が転倒
 薬師沢からの薬師岳
針葉樹の芳香があちこちで
 急登りの途中の樹  雲ノ平の夕暮れ