入山5日目 8月12日(金)

五日目、下山の日。誰かに足を踏まれての目覚めだった。
午前3時半過ぎ。部屋の中の人は、みなさん寝ているようだったが、眠れないのでトイレへ。外は、嵐の様。雷も鳴っている。タバコは、昨夜から切れているが、自分の携帯灰皿からシケモクを探して玄関脇の喫煙場?で吸う。玄関土間の隅に、雨具がづぶ濡れになった若者三人。小屋の番頭は、「私だったら、進みません。」を繰り返すだけ。外の様子を伺うと、玄関の戸を少し開けると、そこは猛烈な風で大きな水滴が水平飛行中ダァーッ!彼ら、三俣から夜やって来たそうで、雷が酷く一時避難中とか。

4時半。朝食の時間。立川親子と一緒に。彼ら予定を変更して、槍には行かないで新穂高へ下山する事にしたそうだ。5時過ぎになって、雷は聞こえなくなってきたが、雨は依然強く降っていた。立川の親子と6時半を出発目標に、お互い準備を始める。相棒、食堂でお茶をもらって来た。寒い雨降りは、あったかいお茶が美味しいんですよね〜。魔法瓶でなくても、なかなか冷めないんですよ。ここは、無料だ。リッター200円で夜中に注入されてたどこかのお茶は、冷たく苦かった。

小屋の朝 朝食 出発準備、完了。
さぁー、出発。立川親子は、グングンと遠ざかってゆく。転ぶなよ!両手、ポケットに突っ込むな。転んだ時怪我するぞ!小6の息子さんも頑張るぅーう!雨粒は小粒になったが、まだ降り続いていた。例年、稜線に出る前に1回は休むんだが、寒いせいか、ヘタる事無く稜線へ。なぁーーんにも見えません。去年は、大パノラマだったのにぃーい!カメラもザックにしまったまま、ただ歩くだけ。途中、雪田近くのベンチで休むが、寒い!ただただ、あるくダケ。直ぐに、弓折分岐の展望台に到着した感じ。誰ぇーも居ない。雨が小降り、というよりミスト状態。後から1人でやって来た若者が、濡れた岩に腰掛け、タバコを吸う。僕、タバコ切れてるんです。せびろうと観察。こいつ変な奴。ザックカバーは、黒のビニール袋、履物は、ズック。雨具は、折り目の付いた新品。そして、耳朶には、穴。タバコ欲しさに、仲良くしたいなぁー衝動に駆られるが、我慢我慢。
追付けない! 昨年新設の「花見ベンチ」 弓折分岐展望台

展望台を出発して直ぐにミスト状態では無く、視界が確保出来る様になる。今度も、あっという間に鏡平に到着。ここで、大休止。ラーメン一丁&コーヒー。稜線に比べると暖かだが、名物氷は止めときました。ここでも、さっきの展望台に居た若者が一人、脇でタバコを吸っていた。ヤニ切れだー!我慢我慢。どうやら彼は単独では無く、家族登山の様だ。後から、オバサン、オジサンが数人下って来て歓談。
ガスが切れ始める 鏡平が見える 鏡平のラーメン
鏡平小屋のクイズ 小屋の前庭 小屋からの下り道

鏡平からの下りは、始めは急下降。今回は雨降りなので、滝だか川だか流れと共に下る。
水って、早く下るんです。歩くのがもう嫌になって来ているんで水が羨ましい。でも、マイナスイオンが一杯で気分いい道。その後、シシウドヶ原までの巻き道もあっと云う間に通過し、何時もの大ノ間分岐。そして、秩父沢に出てお昼弁当。今年の秩父沢の上流部には、まだ雪渓があり、弁当、桃缶を食べながら数日前の白馬雪渓崩落を思い出す。隣で、変な若者:家族登山も休憩中。タバコを貰おうと、フレンドリーに振舞う。どうやら、栃木の黒磯から来ているそうで、去年も雨だったとか。変な若者のお父さんは、話し好き。彼が長男である事なんか聞いて居ないのにー!。結局、彼にタバコをせびれず。我慢我慢。
秩父沢の休憩人 秩父沢で食べた弁当 秩父沢で見た!
秩父沢の橋 林道直前

秩父沢からは、林道まで休まず歩くのだが、この辺まで来ると気温の上昇を実感する。
林道までの間、雷雨&地震で諦め引き換えした場所や一昨年の遭難者横たわり場所などを確認。意外と覚えているんですね。整然と積み重ねられた石の道と樹林帯の泥んこ道との通過を繰り返しながら林道へ無地到着。

あとは、わさび平小屋で冷麦食べてご帰還だ。わさび平小屋に着いたとき、タバコを持っている筈の、あの若者発見!!タバコ、タバコ。冷麦を食べている間に、彼は小屋の中で眠り始めてしまった。ここでも、きっかけ掴めず我慢我慢。

わさび平では、かなり雨が降ってが、途中から雨は上がった。新穂高の到着は、今までになく早い時刻。チェックイン時刻になっていない。
わさび平先の林道 穴毛谷の様子 到着!宿です。

みなさぁーん。最初に行ったロープウェイ駅舎では、タバコ売っていません、からぁー!
タバコが必要な方は、新穂高のバスターミナルの自販機を目指しましょう!
バスターミナルで、ひさしの下で一服していると、若い男女が大きな荷物を背負って脇にくる。荷物を降ろして、シャターを頼まれる。ちょうど雨が降り出したが、彼らは再び雨の中へ、そしてガッツポーズ!もう、こういう状態では雨に打たれるのなんか苦じゃ無くなっているんです。今朝、雷の槍ヶ岳を7時出発しての下山。テントじゃ寝ていられない程の雨だったそうです。

ともあれ、みんな無地に下山完了。