中編:満喫 槍ヶ岳界隈(9/20)
山荘の玄関を入り宿泊者カードに記入して受付へ、出てきたのは社長の穂苅さん。「今日、南岳は混むんですよね」「ええ、申し訳ない。小さな小屋なので、混むとどうしようもなくなるのです。ここなら大丈夫です。」ダメ元で個室を要請。「ありますよ。」えっ! 言われた金額は前回よりはるかに安かった。前回の場所を要求すると、「あそこ、今日はダメです。」とキッパリ断られた。いつもは腰の低い方だが、さすが、激混み臨戦態勢の山小屋責任者でした。「簡易な個室だけど、どうします?」当然、GETしました。「部屋には未だ入れないので談話室で休んで下さい。」連泊の方も談話室に居るとの事で、おっかけSUNを探したのですが居ませんでした。社長に、「昨夜泊った、おっかけSUNをご存知ですか?」「ああー、おっかけSUNねぇー。氷河公園へ行っているから4-5時間かかりますよ。南岳でも行ってきたら!」 寝床が確保出来たので、横のキッチン槍でクロワッサンとコーヒーです。またまた、社長。どうやらこの時間、売店&受付&キッチン槍が穂苅さん受け持ち。忙しそう。 食べ終わって、リュックは受付に置きっぱなしで、ガスが湧く前に小屋周辺からの眺めを写真に!
山荘前のベンチに座り、まったり気分。時間ありすぎぃー! 大喰辺りまで散歩かなぁーと思って、
でも、奴は登りたいのだ。 以前、みくりが池に行った時、一の越までと約束したが、結局その先を目指し敗退した苦い経験がある。 その後、約束が当てにならないから槍は行かないよ。だったんです。 7月の嵐は、我々に味方し誰もが登頂を諦める天気だったが、今回は絶好の天気。 相棒は、約束を守ろうと、登頂を口に出さず、必死に無言で槍登頂の列を睨みつけて堪えているのだ。 「水どうやって持って行く?防寒着は?」 「ズボンのポケット」 「ちょっと待て、アタックザック出して来るから」 「えっ!、持って来たのぉー?」 こういう状況を想定して、相棒には内緒でアタックザックを持って来ていたのです。 安全基準が違う相棒に、出発前に伝えると、現場でもめるのです。大丈夫だ!・危ない!で。 だから、内緒で持参。 この好天気、登らない理由がない。 500ミリペットボトルと防寒着、それに少しの菓子を入れて出発です。10:15 小屋の前から眺めていると、スムーズに登っているみたいだったのですが、岩場になると渋滞。ほとんど停滞している時間の合間に岩場を少しだけ進む感じ。下る人達のしぐさを見て学ぶ時間タップリ。渋滞も飽きません。進むのもゆっくり。快適岩壁へばり着き時間を堪能して登っていました。
梯子(登りは全部で三つ)が後一つと云うときに異変が起きた。 打ち鳴らされる半鐘の音が聞こえきた。カン、カン、カン、カン、カン、カン・・・。それも、身体全体で聞こえるのだ。 その音源は直ぐに判明。自分の心臓だ。慌てて梯子にしがみついた。 「おい、少しだけ休まないと・・・」 「あと一つだよ。」 そういわれてもなぁー、カン、カン、カン、カン、カン、カン・・・ 梯子の途中で、後ろも詰まっているし、仕方ないので深呼吸。何回も、何回も、深呼吸。 「フー、ハァー、フー、ハァー、フー、ハァー、フー、ハァー、フー、ハァー、」梯子にしがみついて深呼吸を。 治ったぁー! 最後の梯子の下で休もうと思ったが、深呼吸で復活。 そのまま、最後の梯子に取り付く。あのカンカンはもう無い。 梯子を登りきり、頭を出した時、始めに目にした光景は、頂上にいる人の足だけ。その先の空は見えず。 そして、両足が頂上の地に着いた時、再びトラブル到来。頂上に飛び出た梯子の手すりの幅が足りないのだ。俺の腰骨が通過しない、ヒヤリものだったが、機転をきかせ身体を斜めにして通過。 登頂です。 即、さぁ、下りるぞー。 下りるのは、何処からですかぁー? 此処だけど、順番だから、そっち回って! えっ!巡礼の列だ! 登りの梯子から行列が出来ていたのね。列は、頂上を一周して下りの梯子につながっていたのです。途中、一番奥に祠があり、列の後ろの人に自分のカメラを渡して記念撮影。登り渋滞で前後の人とは十分にアイスブロークンしていますからスムーズに撮影が執り行われていました、 いよいよ下山。
これまた登りの渋滞中に見て学習していますからスムーズ。 あっという間に山荘に戻って来ました。 時計を見ると驚き、あっという間だったのですが2時間が経っていました。そして、持って行った500ミリのペットボトルは空だったのです。どこで飲んだのか?
腹減った感じなので、ヒュッテ大槍弁当です。 あけてびっくり、ご飯がぎっしり詰まったお稲荷さん。大満足です。 お昼を食べ終わって、玄関に置きっぱなしだった荷物を部屋に運んで(ちょっとしたトラブルがあったんですが、無地に乗り越えて)、再び玄関前のベンチへ。 座って、穂先を眺めたり、殺生のテント場付近を覗きこんだりしていると、後ろから声をかけられた。 初めは誰だか分かりませんでした。だって、Mr.Sが茶髪を帽子で隠しているんですから、老いたオヤジの認識回路は高度3000mの地では停止しているのです。御免なさい。 そこには、昨日会った"一人だけ茶髪軍団"の4人組が! 声を掛けてくれたのは、Mr.S。 彼ら、今朝ババ平を出発して、殺生にテントを設営、これから登頂とか。 でも、嬉しいよねぇー。一度だけ、数分間の会話を覚えていて、翌日見かけたら声掛けるなんて、山じゃ無ければ起きないよね。 これから、何枚も穂先への登頂の列写真撮ったのですが、見つけられませんでした。(見つけたら送りますね。)
まだ13時だ。どうしよう。 昼寝かなぁー? 昼寝するなら、大喰岳で!っと云う訳で大喰岳へ向け出発。
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